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日本産婦人科医会先天異常モニタリングの沿革

  • 1957年にドイツで発売された睡眠薬サリドマイド剤が、「つわり」の治療薬として用いられ、これを服用した妊婦から生まれたこどもに多発した上肢欠損を主体とした「サリドマイド児」の発生は、歴史的悲劇として知られています。疑わしい催奇形因子を早期に認識してすぐに予防対策をたてるというシステムがなかったことが史上最大の薬害といわれる悲劇をもたらしました。この薬品によると考えられる形態発生異常は、実に 5年余にわたり世界中に拡がったことになります。
  • このサリドマイド事件と、それ以前に1950年初頭から指摘されていた妊婦の風疹感染による「先天性風疹症候群」という問題を抱えて、当時の世界の形態発生異常学ならびに疫学の専門家達が何らかの情報交流システム構築の必要性を痛感しました。その結果、WHO主導によって、世界的規模の情報交換システム−ICBDMS(International Clearinghouse for Birth Defects Monitoring Systems,国際先天異常監視機構)が誕生しました。
    このICBDMSは2005年からICBDSR(International Clearinghouse for Birth Defects Surveillance and Research)国際先天異常調査研究機構と名称を変更し、更なる活動の充実を図っています。
  • このように国際的機構整備の機運が盛り上がる一方で、日本でも1972年より日本母性保護医協会(通称日母,現日本産婦人科医会)が中心となり、全国規模の出産児の外表奇形調査が始められました。この日母モニタリングシステムは,1989年より上記の ICBDMS(現ICBDSR)の正会員として加盟しました。さらに1992年11月からは、横浜市立大学医学部産婦人科にクリアリングハウス国際モニタリングセンター日本支部がおかれることとなり、同時に日母のモニタリングの本部もここに移行して、現在に至るまで活動を行っています。
  • ヒトには先天異常が自然発生の中で約3-5%の頻度で発生するといわれており、その原因には不明のものが多いものの、5-10%は環境因子を含む外的因子といわれています。多種多様な先天異常誘発要因が存在するといわれる現代社会においては、これらを常時継時的に定点監視し、何らかの変動を早期に感知して、その変動を分析し、危険因子の発見時には警告を発するシステム(先天異常モニタリング・サーベイランスシステム)は母児の健康維持,健康政策上きわめて重要なことといえます。本調査はこの大切な役割を果たすために行われているもので、多くの参加協力医療機関等の地道な努力で継続されています。

活動内容

  • 日本産婦人科医会先天異常モニタリングでは、日本の総出産児のおおよそ10%にあたる児をモニタリングしてきており、現在、全国331分娩施設の協力を得て、病院ベース※での先天異常モニタリングを行っています。北海道から沖縄にわたるこれらの協力施設には、個人医院からいわゆる三次病院にいたるさまざまな分娩施設が含まれており、我が国における分娩のほぼ全体像を反映していると考えられます。
  • また国連のWHO関連のICBDSR(国際先天異常監視機構)の一員として、ローマの本部に年に常時データを送り、全世界の加盟モニタリングシステム(先進25カ国加盟、各国とも政府機関もしくは,それに準ずる機関が加盟し,活動している)と情報の交換を行なつており,環境因子をはじめとするさまざまな先天異常発生要因に関する情報を入手しています。こうして何か異常があれば、警告等の情報発信を行うなどすぐに対応できる体制を整えています。
  • 本調査は先天異常症例の発生動向の推移を調査し,疫学的観点から解析・検討し、催奇形因子の探求等も併せ行われており,“第2のサリドマイド事件はおこさない”を目標に検討がおこなわれております。【なお,調査,検討は横浜市立大学医学部倫理委員会で審査,承認された疫学調査研究として行われております(*)
  • ※ある地域において(本調査では日本全国)選択された施設で出生した児を対象に調査する方法。これに対し、ある地域全人口(全出産)を対象に調査することを人口ベースという。それぞれの方法には長所短所がある。

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